今週のお題「自由研究」
毎年、夏休みになると思い出すのが、21年前のこと。8月も半ばを過ぎた頃、長男に
「宿題もう終わったの?」
と尋ねると、こう言いました。
「川調べたい」
我が家の近くを流れる川は、かつて全国ワースト1という汚名のあった汚れた川。長男曰く、この川が、どこから汚れているのかを知りたいと。
他の宿題は終わっていて、あとは、自由研究と絵日記。息子の頭では、川を調べて、その日のことを絵日記にしたいということ。
さっそく、地図を見てみると、水源までは車で二時間ほど。川に沿った道は、所々無いものの、近くに車を止めれば見ることはできそうでした。その夜、地図を広げて、一緒に見たいポイントに印を付けて、走れそうな道を紙の上で辿りました。
私の仕事が休めるまでの数日、長男は、川の歴史を調べていました。
まだインターネットもカーナビも常識では無い時代、実際行ってみないと、本当に走れる道か、川岸まで行けるのかはわかりません。それでもあまりにも熱心だったので、全面協力で冒険へと出かけました。
通勤時間帯を避け、確か午前9時くらいに出発しました。長男はカメラを首に掛けて、助手席で地図を広げて上機嫌です。いくつかのスポットを回り、川の様子を写真におさめ、メモをとっていました。その姿は、一端の研究員のようで、愛らしく、私は自分の携帯カメラに長男の様子を撮りまくりました。
川幅は、上流に行くほど狭くなり、いくつか回ったところで、川というより用水路のように変貌しました。
「あのね、本当は用水路だったんだって。田んぼや畑に水をあげる川だったんだよ」
長男に教えてもらい、私は「なるほど」と感心しました。
県内だけの移動だったので走行距離自体はさほど長くないものの、止まるたびじっくり観察をして、水源に着く頃には、夕方になっていました。山でも谷でもない、住宅街の真ん中、民家のような建物のある石垣に刺さった、直径3センチほどのパイプから流れ出しているもの。
これこそが、長男の探す水源でした。
私たち大人がよく見る水源とは全く違う形状のそれを見た時、私は思わず笑ってしまい、長男は、笑う私を不思議そうに見ていました。
帰路は、助手席で熟睡。翌日写真を現像して、大きな模造紙に地図を写して、メモと照らし合わせながらコメントを入れていました。
数日かけて仕上げた壮大な自由研究は、2学期初めにお陰様で高く評価されました。
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